7月21日関大一高

7月21日(土)

ウィングフィールド

観劇ブログ

関西大学付属第一高等学校さんの 「夢遊少女-Dream Girls-」を観劇させていただきました!

初めにこの作品名を見た時は『夢を見る少女達のキラキラストーリー』だと思っていました。ですが予想していたよりとても考えさせられる、深いストーリーでゲネプロと本番の2回とも感動しました。

主な登場人物はとある病院の医師の錦戸、田ノ上。夢遊病患者である美麗、翔子、凛。そして自殺した元教え子である純菜の謎を追う元教師のジャーナリストの松野。

夢遊病とは眠っている間に歩いたり話したり覚醒時と同じ状態になる病です。夢遊病についてもっと知りたくて調べてみたのですが、 このお話の中での夢遊病は少し複雑なのかな?と思いました。 患者が普段抑えている自我が寝ている間に暴走してしまい、暴れたり泣き出したりするのです。

ストーリーは全体的にシリアスでした。 純菜のいじめ、傷害事件、自殺。それを見て見ぬふりしてしまったことを後悔している松野。普段抱えている不安や自信のなさ、言いたいことが言えない辛さなどの3人の少女達の自我。 ですが、役者の皆さんの演技がとても素敵で、シリアスな場面でも会話のテンポの良さや細かい表情や動きでクスッと笑える場面もあり、最後まで楽しく観劇させていただきました!

面白かった設定が、「夢遊中に3人の自我が共鳴すると未来を予言できる」というものです。これをシンクロと呼びます。 シンクロは1回や2回だけでなく何回も起きるのです。未来の小さな出来事から大きな出来事まで百発百中の予言です。 これらのシンクロは美麗、凛、純菜の3人によるものなのですが、純菜の代わりに翔子でもシンクロ出来るのか?と挑戦します。

結果として、無事シンクロに成功した3人。 予言の内容は「13日間続く大雨により災害が起こる。沢山の死者が出る。」 というものでした。 夢遊病の彼女達が特別な存在であり、予言が必ず的中することを知っている錦戸と田ノ上はこの予言をメディアに公表して被害を抑えてほしいと松野に言います。 しかし「彼女たちが特別な存在だとしてもこんなことはありえない!」と主張する松野。 それに対して 「あんたはそうやって認めようとしない。純菜に普通の女の子のレッテルを貼り、人と違うことをすれば認めない。口では理解しようと言っても、心の中では理解するどころか特異な病気で片付けて純菜にも自分にも非がなかったと思いたいんだ!」 と錦戸が言います。

それでも尚、予言を信じようとしない松野に向かって翔子が声をかけます。

「松野さん、特別っていけませんか?私も普通でいることが幸せだと思っていました。でも、みんな違うように生まれてきてみんな違う価値観をもって、みんなが特別なのが当たり前なんですよ。……松野さんには松野さんの、与えられた特別さがあるんですよ。」

翔子の言葉を聞いて涙する松野。 ここで松野はどこの新聞社とも通信社ともコネがない自称ジャーナリストで何も出来ないのだと明かします。 この時、松野を演じられていた役者さんの泣きの演技が本当にお上手で、悔しさや情けなさなど色んな感情の混じった泣き声に思わず自分も泣いてしまいました。

「勇気も自信もなくて、一社断られただけで諦めちゃって……

でも、やらせてください。 僕が責任をもってこの予言が無駄にならないようにします。 もう後悔しません!もう、逃げません!」

「頼んだ」

と一言声をかける錦戸。それを聞いて松野は走って出ていきます。 そして、夢遊少女たちによるもう1つの予言が流れてきます。

「純菜の遺志が一人の男を走らせ、救いに導く。」

お話はここで終わります。実際に予言を世の中に伝えることが出来たのか?水害から人々を救えたのか?など謎が残るままのエンディングと、松野が純菜の遺志によって救われることが予言されていたことなど… 公演が終わってからの私たちの意見は 「ふ、深い………感動…。」と、思わず語彙力が低下してしまうほど素敵な舞台でした!笑

今作は既成作品との事でしたが、役者さんたちが役をそれぞれ自分たちのものにしていて、声や表情で感情が伝わる迫力のある演技など関大一校さんのカラー満載で本当に素敵なでした!

関大一校の皆さん、本当にお疲れ様でした!

(桜塚・島嵜)