「大阪ミナミの高校生3」(精華高校)観劇ブログ

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 7月21日、精華高校さんの「大阪ミナミの高校生3」を観劇しました。

精華高校の役者さんたちはきっとこの難しい脚本をとてもとても深く読み込んだのだと思います。この劇は、おそらく不登校になってしまうなど理不尽な社会に馴染めない若者をテーマとしているのでしょう。そういった繊細な少年たち少女たちの複雑な心境を一言一言のセリフの重み、繊細な表情の変化でとても上手に表現していたと思います。動きのキレ、テンポのよさとかだけで押し切るのではなく、演じるキャラクターを理解しているのだと感じました。それだけでなく、人体を上手く使って家具や家の空間、乗り物などを表現したり、突然中華なべを使って荒野行動を始めたり、若干シュールだが面白い表現が奇妙な世界観を感じさせていたし、ふわふわした心理描写を手助けしていました。そういった肉体表現はだいぶ練習し、きっといろいろとみんなでアイデアを出し合ってより洗練したものにしたのだと思います。しかし、その不思議な動きとトムがマークをボコボコにするときの動きの違いが自分にはわからなくて、シリアスシーンへの変化がちょっとだけ受け取りにくかったけれど、多分それは自分が今まで見てきた劇とは違う、新しいものへの違和感かもしれません。 

個人的には、所々、役者の声で鍵を閉める音などを表現しているところがあり、それが新鮮で面白かったです。電車の音なども声でやったらどう変わるのか、いろいろ考えると面白なあと思いました。スピーカーで流す声でする、その境界がしっかり分かれている方が、はっきりしてメリハリのある音響になるかもしれないなど、音響としてもいろいろ考えさせられました。音響オペはゲネのとき、一心寺の設備を使えるのが一回だけだからなのか、おぼつかない操作もあったけれど、本番になると、上手になっていたので良かったです。自分はスタッフとしては音響をやることが多いのでどうしても音響に注目してしまいます。色々な不思議で奇妙な表現、センスのあるコトバ選び、独特な空気感で観劇した人の心に印象的に残る劇だったと思います。

ところで、この劇を見て自分が気になるのかトムのその後です。鮫から逃げられたのでしょうか。鮫に食い殺されてしまっていてもそれはそれで面白いかもしれません。何にせよローラという友達ができて、トムは少し救われたのだと思います。

精華高校さん、どうもありがとうございました。

 

寝屋川高校 演劇部